淀川河川公園と私
河原のテニスコートは淀川からの贈り物。

 やはりテニスの話から始めさせていただきます。

 テニスは、ちょっと女性的で上品なスポーツという誤解があって、つい15年程前までは、「こんなもん出来るヵ」といって敬遠する人も多い時代でした。しかし、テレビなどから目に入ってくる格闘技と錯覚するような最近のテニスは、大変激しいスポーツという印象があって、今は「こんなもん出来ないヮ」と思う人が多くなっているようです。テニスがそのような印象で人々に伝わるのは、普及という意味では少々困った事なのですが、確かに用品の性能や練習方法が非常に向上した事で、今のテニスは以前に比べるとはるかにハードになったのは事実です。しかし、それはプロや選手を目指して科学的で高度な学習を重ねた一部のアスリート達の世界であって、本当は幼児から高齢者まで年齢に応じて気軽に心から楽しめる素晴らしいスポーツで、少し減ったとはいえ、800万人近い人たちがプレイを楽しんでいます。

 テニスの技術の中には‘打つ’‘投げる’‘受ける’‘走る’‘跳ねる’‘止まる’‘蹴る’‘滑る’など多くの動きが含まれています。そして、ゲームの中では、相手が打って来るたびに、素早い‘判断’‘決断’‘実行’‘反省’を繰り返して、的確な所に返球しなければなりません。それらの事が、健康に大いに貢献しているだけでなく、子供達にとっては神経系統の素晴らしい成長を促し、高齢者には老化やボケの防止に大いに役立っています。又、プレイにおいて、仲間との楽しいコミュニケーションを図る中で、豊かな人間関係も育まれ、生涯スポーツとしては最適のスポーツと私は思っています。
 テニスの宣伝はこれぐらいにして、淀川の河川公園には、テニスコートがゆったりとした環境の中に55面も点在しています。私はテニスの普及を目的としたスクールやイベントの開催をお引き受けして既に15年余りになりますが、いつもコートに直行するだけだったので、この機会に雰囲気をゆっくり感じてみたいと思って、天気の良い日に公園に足を運んでみました。

 堤防に立って、まず川幅の広さに改めて驚き、水によって生み出された広大で平坦な土地に、自然のすごさを感じながら河原に下りますと、不思議に静かで無音の世界がそこにありました。反響するものが周囲に無いからか、最初は草の香り以外何もないほど静寂に感じました。しかし、静けさに慣れてくると、やはり‘親子の笑い声’‘ランニングの足音’‘風の音’‘鳥のさえずり’など多くの音が聞こえ出します。さえぎるものが何一つない真っ青な空の下に、不思議に都会の騒音は聞こえず、市民の生活音と自然音だけがいっぱいに聞こえ出し、こんな恵まれた環境でテニスをさせてもらっているのだと初めて気付きました。

 私は今後もテニスコートの効果的な活用でお役に立ちたいと考えますが、何かと問題の多い世の中になり、心の豊かさが求められている今、こんな身近な所に素晴らしい水からのプレゼントがある事を感謝し、皆さんもこの空間をもっと生活に取り込んで、豊かな毎日をすごしてもらいたいものだと思いました。

山崎 眞吾
執筆中の筆者
テニスコートに立つ筆者

ナンバーVol.18 山崎 眞吾
 やまざき しんご。 昭和49年4月、有限会社ラケットパル設立。
(社)日本プロテニス協会理事、(社)日本テニス事業協会理事、文部科学大臣認定
(社)日本プロテニス協会公認テニスA級教師、ミズノ株式会社アドバイザリープロ。

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