―第1巻―

親子3人「淀川源流」旅日記
〜桂川その3〜
カワラヒワ
カワラヒワ
眼下に流れる川面に山の深緑が映える嵐山地区。
鮎の釣り人(渡月橋下流左岸から)

 木々の緑が濃く深まる季節。初夏とは思えぬ猛暑の中、親子3人で汗をかきかき嵐山界隈を徘徊。寺社が多く点在する歴史の街を堪能しました。渡月橋から見る山の美しさ、穏やかな川の流れがつくるそよ風に、ほんのひととき暑さを忘れることができました。

 阪急嵐山駅から中ノ島公園を抜けて桂川に向かう。蒸し暑い中を歩くこと10分、やっと河畔に到着。茶屋が連なり、抹茶アイスや桜餅などを味わう人々で賑わっていた。カワラヒワのカップルが、繁殖期の終わりを惜しむかのようにさえずる。川に目を移すと、鮎釣り人が腰まで水に浸かっている。娘はその姿を見て「おっちゃん、プール遊びしてるの?」とひと言。暑さのあまり、流れに飛び込む子ども達も多かった。 

紅葉が始まった嵐山と渡月橋
紅葉が始まった嵐山と渡月橋
 桂川の右岸には標高375mの嵐山【A】が堂々と鎮座する。深緑の衣装をまとった山並みが川面に映り込んで美しい。渡月橋【B】に着くと、やっと風に恵まれた。水面をつたい、橋の上だけにそよ風が吹く。気持ちいい。船遊びを楽しむ人々を横目で見ながら、人力車の車夫の執拗な誘いを断り対岸へ。欄干が新しくなっているのに気づいた観光客2人組が「ニュー渡月橋やね」と話していた。

 次の取材地、車折神社【C】に行くため京福電鉄嵐山駅へ。町中を気長に走る1両だけの電車で10分、神社は車折駅前にあった。境内は木々の織りなす緑の回廊、まるで迷路のようである。娘は猫に導かれてウロチョロ。「ニャンコにお願いするネ」と言いながら両手を合わせていた。いくつもあるほこらの中でも、とくに境内中央にある芸能神社が面白い。鳥居や社に千社札が驚くほど貼ってある。毎年5月に行われる三船祭【D】は、この芸能神社で芸能上達を祈願し奉納するらしい。祭人は平安時代の装束をまとって船に乗り、渡月橋上流一帯で管弦や舞楽などを披露すると言う。ちなみに三船祭とは言うものの、船は20艘以上出るそうだ。

水神社が祭られる車折神社
水神社が祭られる車折神社

 戻りの電車は真っ赤な「のり〜なちゃん号」だった。レジャー気分いっぱいで娘は大喜び。そして、嵐山駅前の天龍寺【E】に向かった。入口近くの蓮の池では、大輪の華が咲き誇る。照りつける日差しを浴びながら法堂へ。中に入ろうとすると達磨の絵を見て「おっちゃん、怖い」と娘が怯えて断念。さらにジュースをねだるので、夢窓國師が作った回遊式庭園の見学もあえなく諦める。残念。
 新旧の文化が入り混ざる嵐山は多くの観光客で賑わう。いつ来ても懐かしい・新しいと思わせる街。今度は違う季節に訪れ、異なった表情を満喫したいものだ。
霧に沈む洛北(小倉山から) 天龍路庭園・曹源地
霧に沈む洛北(小倉山から) 天龍路庭園・曹源地



*取材/7月14日(土)
*小村家・プロフィール/父の一也はプランナー兼イラストレーター。母の郁慧はコピーライター。そして一人娘の東洋。親子3人、仲良く見聞しています。

散歩地図


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