―第1巻―

親子3人「淀川源流」旅日記
〜桂川その1〜
3つの川が合流する静かで清らかなフィールド
三川合流(左から桂・宇治・木津川)


離宮八幡宮
多宝塔の礎石が残る離宮八幡宮一【A】
 自然と人々の暮らしが調和する大山崎。阪急大山崎駅前の露店には地元の野菜が並べられている。ブラブラ歩いて約5分離宮八幡宮【A】に到着。連載開始を讃えるかのごとく、梅の木に留まったヒヨドリがひと声鳴いた。ここは油座の本所であり、油商人にとってのメッカで、今も製油業者の崇敬を集めている。静かな境内で娘が駆け回る、「神様、お願い」と柏手を打つ。鳥の声と我々の声しか聞こえない。
 そこから約3分歩くと妙喜庵【B】に。室町時代後期に東福寺の春嶽(しゅんがく)という僧が開山。国宝三茶屋のひとつ、待庵(たいあん)があり、予約をすれば見学も可。千利休の造営といわれる二畳敷きの草庵風茶室、豊臣秀吉もしばしば訪れたという由緒正しい茶室。古人はどんな会話を楽しんだのだろう。

 次に向うはアサヒビール大山崎荘美術館【C】。送迎バスも無料運行しているが歩いてみた。天王山の上がり坂を10分ほど行く。娘はベビーカーで鼻歌交じり、親は交代で息を切らして。この美術館は大正末期に建てられた近代名建築を利用したもの。屋根などを修復していたが、3月下旬には工事も終わる。館内には河井寛次郎氏をはじめとする陶芸作品がズラリ。隣接する「地中の宝箱」という建物にはモネの「睡蓮」が展示されている。芸術鑑賞の後には、2階のテラスへ。眼下に流れる桂川を眺めながらティータイムを楽しんだ。
 舞台は変わり、次なる目的地の長岡天満宮【D】へ。阪急長岡天神駅から参道を10分ほど歩くと、緑に覆われた長岡天神に遭遇。社前には松や桜などの老樹に包まれた八条ヶ池が広がる。菅原道真を祀った神社で、合格祈願やお宮参りなど参拝者が絶えない。ここでもまた、娘は柏手を打つ。いったい何をお願いしているのか。
妙喜庵
史跡巡りの案内板がある妙喜庵の門前一【B】

寂照院
境内の竹林が美しい寂照院一【E】
 来た道をUターンして駅前に。寂照院【E】を目差してバスに乗る。娘はバスの揺れに身を任せてウトウト。京都はタケノコの名産地として名高いが、江戸時代中期、その孟宗竹の原種が中国からもたらされたのがこの地だ。まるで屏風絵や襖絵のような風景、虎でも潜んでいそうな感じがする。この古刹は弘仁10(819)年に道雄僧都が開山した海印寺が縁起。10の支院をもち隆盛を極めたが、織田信長が入洛の際に火を放ち、のちに海印寺寂照院と名を改め、現在地に再興された。
 晴天に恵まれた半日、西日を背にしつつ帰路に着く。車窓に広がる桂川の広瀬を眺めつつ、次なる源流への旅へと心を馳せるのであった。
*取材/2月18日(日) *絵と文/小村一也・郁慧
*小村家・プロフィール/父はプランナー兼イラストレーター。母はコピーライター。そして一人娘の東洋(とうよう)。大阪で生まれ育った私たちが、身近な自然である淀川の源流を“好奇心全開”で見聞します。

散歩地図


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