淀川の野草第6回


文/有馬忠雄


 (1)イヌコウジュ
秋の高水敷きの、草むらが何かで壊された所が煙るような紫色に染められていることがある。イヌコウジュの群生である。植物の名前に「イヌ」が付くのは、役に立たないという意味が込められている。群生地の紫は役に立たないどころか、気分を引き立ててくれる一服の清涼剤である。地方名にニセハッカがあるが、ハッカに似てはいるものの、そんな香りはないのだ。
イヌコウジュ
 (2)オオオナモミ
子供の頃、刺だらけの実を女の子の髪にくっつけてひどく叱られたことがあった。今でも腕白(わんぱく)達は「ヒッツキムシ」と名付けて衣服などにくっつけて遊んでいる。昔も今も遊びは変わらないのだが、昔投げたのはオナモミ、今投げているのが、オオオナモミなのだ。それとは知らない内に植物の方は変わってしまっていて何か不思議な気がする。北米原産の一年草。地方名にサンパツとかドロボウなどがあるらしい。由来を聞いてみたいものだ。
オオオナモミ
 (3)セイタカアワダチソウ
花粉が飛んで喘息を引き起こすというので有名になった北米原産の多年草。「公害草」という可哀想な名前までもらってほんとにお気の毒。黄色な花が咲くということは花粉を昆虫に運んでもらうということ。風が運ぶのではない。すなわち、花粉は飛ばない。当時あまりの繁殖のすごさに驚いて、公害草に仕立ててやれば根絶やしにしやすいと考えた人がいたという事なんだろう。アメリカでは、州の花にしているところもあるというのに。
セイタカアワダチソウ
 (4)セイタカヨシ
背の高いヨシ。芸のない名前だ。別名セイコノヨシ。西湖(中国の湖)に生えているから。と言われても、西湖を見たことのない人には分かりにくい名前だ。地上を這って行く茎で繁殖地を広げる。茎はヨシよりも太いのに、刈り取った茎が乾くと萎(しな)びてしまうので利用しにくいのだそうだ。子ども達がこれを使ってパンの笛(ギリシャ神話の牧羊神が吹くたて笛)を作った。が、茎が萎びるに連れて音程が変わっていくので苦心していた。
セイタカヨシ
野草地図


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