淀川歴史散歩

―第9回―

城北わんどと菖蒲園(しょうぶえん)

■城北(しろきた)わんど       図-A
 城北わんどは、淀川が大阪市内に入った辺りの左岸、河川公園「城北河畔地区」にあります。河口から約12km地点付近に隣接した大小様々なたまりを形成し、淀川特有の自然を代表するひとつとして「日本の自然百選」になっています。わんどとは、川の湾入部のことで漢字で当てれば湾処と書きます。明治18年(1885)6月の淀川大洪水は、左岸決壊、31橋流出、死者・被害家屋も多大で、兵隊出動もあった大水害になりました。その後、オランダ人技師ヨハネス・デ・レーケ指導のもとに淀川改修工事が始まりました。その頃大きく湾曲していた水路を北へ移してほぼ真っすぐにし、水の流れを抑えるため、両岸から直角に数多くの水バネを突き出しました。これは、「粗朶水制(そだすいせい)」という技術で、木の小枝や下草を編んだものを何重にも積み重ね大きな石を載せて(粗朶沈床工(そだちんしょうこう))、川の底に沈めて作りました。これで水の流れは木の小枝の間を通ることができ穏やかになりました。やがてまわりに土砂が溜まり、水辺を好むヨシやマコモなどの植物が茂り、現在のわんどの原形が誕生しました。水制工事は昭和20年代前半まで続き、長い年月が水辺の生き物たちに絶好の生活環境を作ったといえます。石垣や砂でこした良質の水が入ってくるわんどには、タナゴの仲間で二枚貝に産卵する天然記念物のイタセンパラなどが棲み、淀川で通常見かけるハス、フナ、ヨシノボリなど40種類の魚のほとんどがここで生まれ育っています。交通は大阪市バス城北公園前下車。公園を抜け緩(かん)斜面から街と淀川を一体化するスーパー堤防上に上がると、北摂や六甲の山並みを遠望しながら、眼下のわんど群風景に出会います。


ワンド(左)と本流(右)

■城北公園と菖蒲園(しょうぶえん)  図-B
 昭和9年(1934)に開園した広さ約10.8haの城北公園は、大池を巡る桜並木、菖蒲の名所として人々に親しまれています。昔の淀川はこの付近で大きく南に湾曲していました。明治の淀川大改修で流れは北へ移され、右岸の川原が堤の外に取り残されました。その川跡を利用してつくられたのが現在淀川左岸にある同公園です。かつての水たまりは渡り鳥が来る池に生まれ変わりました。菖蒲園は同公園内にあり、昭和39年(1964)開園。関西で初めてできた回遊式花菖蒲園で、早咲きの江戸系、伊勢系、遅咲きの肥後系など約250品種1万2千株が花開き、五月下旬から六月上旬には大勢の人で賑わいます。平成9年(1997)に展示場も完成。なお、堤防斜面にあった千人塚と平和地蔵は、堤防上の広場に移されています。


城北公園しょうぶ園

記:滝本明




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