絵  物  語
詩:滝本明 写真:細川和昭 
城北わんどに咲くホテイアオイ

その部屋には、川の風景の絵があった。
窓の外に雨が降ったとき、絵の中で魚が跳ねた。
かすかな音が部屋に響いた。

夜になるとその部屋で、子供たちはいくつも夢を見た。
その、不思議な未知への憧れと、幼い恐れを私は忘れない。
川は母に似て、夢の上を静かに撫で、朝にはもとの絵になった。

絵の外で、10年が過ぎ20年が過ぎた。
ある日、少年は大人になった。人の死と恋を知った。
その辛い心の変わり目を、私はいつまでも覚えておこう。

岸辺にまた夏が来て、子供と父親が歩いていた。
あの花はナニ?ウン、ホテイアオイって言うんだよ。変な名前…。
花は、見る人の心を真似て、色んな言葉で咲くんだよ。

絵に青空。小さな夢の積乱雲。
川のある町に来て、心があの部屋を探している。


淀川河川公園を楽しむ情報誌
NO.22 1999 SUMMER
編 集/淀川河川公園広報委員会
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